こんにちは、ケンサくんです。
今回から7回にわたって病院で働く臨床検査技師の主な仕事内容について簡単にわかりやすく紹介したいと思います。
- 第1回 一般検査
- 第2回 生化学検査
- 第3回 免疫・血清検査
- 第4回 血液検査
- 第5回 微生物検査
- 第6回 生理検査
- 第7回 病理検査
まず第1回は一般検査の仕事についてです。
一般検査ってなに?
一般検査とは尿・糞便・脳脊髄液、穿刺液(腹水・胸水)などを検査する検査部門のひとつです。
一般検査と言われてもこの言葉からは仕事内容の予想がしにくいですが、教科書的な定義では「血液、組織、剥離細胞を除いた試料についての外観観察、定性・半定量検査、顕微鏡的観察などを行う検査」だそうです。
患者さんから得られた試料は以下の検査室にまわされます。
- 血液・・・・・・・・血液検査室、生化学検査室、免疫・血清検査室
- 組織、剥離細胞・・・病理検査室
- その他・・・・・・・一般検査室
つまり、一般検査室では血液や組織・剥離細胞以外のすべての試料の検査を行います。
具体的には、尿、糞便、脳脊髄液、喀痰、胃液、十二指腸液、腹水、胸水、関節液、精液、気管支肺胞洗浄液(BALF)、持続的外来腹膜透析(CAPD)排液、羊水、鼻汁などを扱います。また、寄生虫検査を行ったりもします。
えっ!仕事多くない?
はい、多いです笑
しかし、上記のような試料の検査をすべての病院で行っているわけではなく、検査センターなどへ外注していたりします。
検査室のある病院であればどこも尿定性検査・尿沈渣検査くらいは行っています。
尿定性検査・尿沈渣検査について
みなさんは少なくても一度は健康診断を行ったことはあるのではないかと思います。
そのとき、紙コップに尿を入れて提出したと思います。
一般検査室では患者さんから採取された尿を受け取り、尿定性検査や尿沈渣検査を行います。
- 尿定性検査・・・化学的検査
- 尿沈渣検査・・・細胞学的検査・有形成分検査
尿定性検査では尿の一般的性状(色など)を観察し、尿試験紙を使用して化学成分の含有量を定性・半定量します。調べている項目には主に以下のものがあります。
- pH・・・酸性〜アルカリ性
- 蛋白・・・腎炎など
- 潜血・・・腎の出血
- 比重、糖、ケトン体・・・糖尿病など
- ビリルビン、ウロビリノーゲン・・・黄疸など
- 亜硝酸塩、白血球・・・膀胱炎など
尿沈渣検査では尿を遠心分離して細胞や有形成分沈殿させて標本を作成します。その沈渣を顕微鏡で観察して泌尿器系の異常細胞(癌細胞など)や病的結晶成分を探しています。
実は健康な方でも少数の細胞が常に尿へ排泄されています。病的な状態ですと尿中へ排泄される細胞数が増加します。
糞便検査について
糞便検体も一般検査室で取り扱います。
検査としては便潜血反応や寄生虫検査を目的としています。
ただし病原細菌の同定が目的であれば微生物検査室に糞便検体が提出されます。
便潜血反応は糞便中にごく微量の血液を検出する方法で、消化管の出血などを調べるために行われます。大腸癌の検査には特に必要となってきます。
尿検査や糞便検査のメリット
尿検査や糞便検査は血液や組織の検査と違って患者さんにとって大きなメリットがあります。
それは、・・・
痛みなどの侵襲性がなく患者さんの試料を検査できる点です。
患者さんから血液や組織を得るには痛みを伴いますが、尿検査や糞便検査では患者さんに侵襲性が全くなく患者さんの状態を把握できるメリットがあります。
脳脊髄液検査について
脳脊髄液(髄液)は脳室、くも膜下腔、脊髄くも膜下腔に存在している体液で、正常では無色透明で、細胞は少なく、化学成分も非常に低濃度です。
中枢神経系に何らかの病変が生じると、髄液の外観、細胞数、化学成分に異常をきたします。
様々な神経系の病気が疑われる際にこの髄液検査が行われます。
特に髄膜炎の診断に非常に有用です。
この髄液は様々な成分が低濃度のせいか、細胞の変性が著しく、検査室にきたらすぐ検査に取りかからなければいけませんので厄介です笑
寄生虫検査について
戦前までは寄生虫感染症は国民病とも言われてきましたが、公衆衛生の改善や医療の進歩により、日本人で寄生虫感染している方はほとんど見られなくなりました。
そのため、寄生虫検査を実施している日本国内の検査室の数は年々減少しております。
しかし、世界では未だ寄生虫症が猛威をふるっている地域もあり、海外で日本人が感染して帰国後発症するというケースが度々見られます。
一般的に、寄生虫の成虫、幼虫、虫卵を見つけることで寄生虫の診断ができます。
多くの寄生虫は腸管内に虫卵を産卵するため、糞便検査により虫卵を見つけ、寄生虫の種類を鑑別できます。ただ虫卵を産卵しない寄生虫などもありますので、一概にはこれで全て診断できるわけではありませんが・・・。
詳しくはまた別ブログで解説したいと思います。
一般検査に関わる資格
上記のような一般検査の実務歴が3年以上ある臨床検査技師を対象に、「認定一般検査技師」制度があります。
そのほかは一般検査に関するめぼしい資格がないため、一般検査を行う方は「認定一般検査技師」をぜひ目指してみてはいかがでしょうか?
まとめ
一般検査室では尿検査、各種体液検査、糞便検査を行います。
血液や組織・剥離細胞以外の試料を扱うため、幅広い知識が必要になります。
一般検査についてご理解いただけたでしょうか?
多くの方が臨床検査技師を目指していただけると幸いです。
ではまた!
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